かたすみの読書記録

読んだ本の感想記録(少女小説多め)。ときめきと自分の『好き』を探したい。

小国の侯爵令嬢は敵国にて覚醒する上・下/守雨

これは居場所と夢を掴む物語

小さな島国・サンルアン王国。その宰相の娘・ベルティーヌは結婚式を間際に控えていたが、支援していた帝国が戦争に負けたことにより、賠償金の代わりに嫁ぐことを命じられる。
相手は戦勝国の代表・セシリオ。
覚悟を決めて南部連合国へと赴いたベルティーヌだったが、セシリオは不在。そして、婚姻は断りの返事が出ていること、向こうが望んでいたのは賠償金のみだと知る。
どこにも戻れなくなったベルティーヌは、信頼する侍女・ドロテと共に市井に降り、生き抜くことを決意する。


 
さくさくとテンポ良く進むお話でした。
幼いころに身につけた商才を如何なく発揮していく主人公。
そして、南国の美味しそうな果物!食べ物!
旅行に行きたくなる……。

暫く生活するうちに、すっかり連合国が気に入ったベルティーヌは、商売の種になりそうなものを見つけ、手段を講じていきます。
今まで当たり前にあったものが、他国にとって価値のあるものだと知らない、またお金を得ることに重向きを置いてない人達。
そんな人達に、皆でお金を手に入れて、暮らしを豊かにして、幸せになろう!と声を掛けるベルティーヌ。
この考え方や、また貴族と思えぬ人柄で無かったら、土地の人たちを心良く動すことは出来なかったでしょう。
また思わぬ繋がりも後押ししてくれたり。
果実のシロップ煮、ジャム、アクセサリーetc。
父親の伝手もあるとはいえ、読みに当たり、大きく発展していく過程は気持ちよく、楽しいです。

・ベルティーヌとセシリオの恋
要素はあるものの薄めでした。
あれ、思っていたのと違うな?とロマンス方面について思うことに。
お話としては面白かったので下巻も買いましたが、恋物語メインでは無かったですね。

・うーん……という点。
冒頭で『さくさく進む』と書きましたが、逆にちょっと物足りないな……と捉えられる面も。
セシリオの屋敷で受けた仕打ちを、後々何回か話に出すのですが、わりとあっさり書かれていたから、そんなに辛かったのだろうか?と感じてしまって。暮らしと立場を考えると確かになと分かるのですが、少し引っかかってしまいました。

実は裏で思惑があったベルティーヌの結婚話。どうして、連合国に行くことになったのか。
サンルアン王国、セントール帝国、南部連合国3国の行く末を大きく変える事態へとなって行くのですが……。
それは読んでのお楽しみ。

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