かたすみの読書記録

読んだ本の感想記録(少女小説多め)。ときめきと自分の『好き』を探したい。

王と后/深山くのえ

初めて感じた、温かな気持ち

遠い昔、天女を迎え、神の力を受け継ぐ八つの家が支配する国、千和
突如として都から離れた天羽の家から、術の安定の為、巫女兼、后を迎えるようになって七十年。
時代の中で他家との確執は悪化し、天羽の娘は人質同然となっていた。

第六十九代千和王・一峰鳴矢の元へ嫁いだ天羽淡雪。実は彼女には天眼天耳、遠い場所の物事を、見て聞く力を持っていた。
思わぬところで、自分に惚れたと聞いてしまった淡雪は、戸惑いながらも彼を気にするようになるのだが……。


 
心を押し込め生きてきたヒロインが、真っ直ぐな気質の王様と夫婦となったことから始まる和風ファンタジーロマンス。

深山さんらしい作品でした!
「桜嵐恋絵巻」を思い出すなぁ。
1巻は巻数表記がありませんが、続きものです。

人質としての自分を立場を受け入れ、大人しくありつつも、理不尽な言葉にしっかり返す淡雪。
淡雪の術のことを知らない鳴矢が、外出を禁じられている淡雪の慰めになればと、桜の枝を贈るのが素敵で。
そんな、鳴矢の好意を戸惑いつつも受け止めて、動かないように固まっていた心が、少しずつ綻んでいく様子がとても良かった。

夫婦といっても、それは形のみで、会えるのは月に一度。后という立場は完全にお飾り。
二人の関係が公にバレてしまえば、良く思わない人もいるわけで……。
鳴矢の中継ぎの王という立場も動きそうな不穏な雰囲気も。

また、天羽の家が都から離れた理由や、当時の王の残した書物には何が書かれていたのか?など、隠された歴史も気になるところ。

困難を乗り越えて、幸せな未来を掴んでほしい二人を見守りたいと思います。

BOOK☆WALKER