かたすみの読書記録

読んだ本の感想記録(少女小説多め)。ときめきと自分の『好き』を探したい。

無音の哀戀歌~さよなら、わたしの最愛~/御永 真幸

表題作

フランス、パリ。降りしきる雨の中、自由奔放で美しい高級娼婦・ジャンヌと身分を偽った凛々しき死刑執行人・シャルルは出会う。

互いに惹かれ合う二人だったが……。

同時収録「嵐の狂想曲~暁を挑む天上の歌~」

国民衛兵軍の一兵卒だったルカは、暴動の鎮圧に加担したとして、反革命派として監獄にいた。

執行が前日に迫るなか、釈放命令が出る。

現れたのは、7年前に家を飛び出し別れた父親シャルル・サンソンだった。


フランス革命期を題材とした少女小説

表題作は、シャルル・サンソンとジャンヌの恋物語

同時収録は、その息子・アンリを主役とし、一途な恋、死刑執行人としての役割、父との交流、革命の終わりまでを描く物語。

再読です。

これを最初読んだ時は、ジャンヌの事にさっぱり気付かなくてですね。最後に、あー!となりました。悲恋漂うタイトルです。

二人の間には身分以上の隔たりがあり、愛しているからこそ、側にいて欲しいと同時に、同じ所に来て欲しくない。相反する気持ちが、言葉に出来ぬ叫びとなって突き刺さる。

選んではいけない相手に惹かれていく過程が切なくて、苦しくて、好きです。

息子、ルイ改めアンリ・サンソンの話。

こちらの恋はハッピーエンド。とはいえ、恋愛が主軸ではないので、扱ってる題材が題材なだけに、考えてしまう。

ギロチンへ向かう人々に接する彼は苦悩する。

恩人、恋人の父親、失脚した政治家。

それは読んでいるこちら側も同じで、その散り際を見せつけられる。

フランス革命について調べた事は無いので、ぼんやりとした想像しか出来ないのですけど、凄惨で恐怖と悲しい時だったのかなと。

息子を強引に連れ出したシャルルですが、アンリへの不器用な気遣いが見て取れるんですよね。

まぁ、今更捨てていいと言われても……とは思いますが。晩年の様子にほっとしました。

少女小説としては、重苦しく、異色な作品として記憶に残り続けると思います。