かたすみの読書記録

読んだ本の感想記録(少女小説多め)。ときめきと自分の『好き』を探したい。

天姫 1319・鎌倉崩壊/1333・鎌倉滅亡 倉本由布

私の中にいるのは、誰?

鎌倉末期。長い間幕府を取り仕切っていた北条一族の娘・姫夜叉は、一族の頂点に立つ高時と恋仲だった。
しかし、他家との結びつきを強める為、一族内での婚姻は認められない。
二人は高時の執権就任を前に逃げ出すが、捕まり、引き離されてしまう。
そして、月日は流れ三年。
再び高時と再会し、喜ぶ姫夜叉だったが、時折、自分の意識が頻繁に飛んでいることに気付くのだった。


 
全2巻。
大河の影響もあり(といっても時折しか見てませんが)、歴史ものを読みたくなったので、引っ張り出してきました。
数十年振りの再読です。
姫夜叉と高時の恋を中心とした鎌倉滅亡までのお話。


子供だからと周囲に取り扱ってもらえない。でも、子供だからこそ知らぬふりをして会いに行けた。
執権就任と同時に高時が妻を迎え、心に漣がたっても。自身も縁談を受け入れ、結婚しても。好きな気持ちは変わらぬままでした。
(まあ、これは夫となった高氏が受け入れている事と、他の女に夢中になってるから納得出来る事ですが)
会いたい、でも会えない。
触れたい、でも触れられない。
そんな二人が、ようやく向き合い、望んだもの。

天姫が火種を付けたものの、きっと高時は鎌倉がもうどうしようもない事を分かっていたように思うのです。
他の人物による政治の画策があるものの、やはりこの作品は、どこまでも二人の恋であり、愛のお話なんだなと感じます。