かたすみの読書記録

読んだ本の感想記録(少女小説多め)。ときめきと自分の『好き』を探したい。

片想い中の幼なじみと契約結婚してみます/神戸遥真

住所不定無職の危機に、目の前にぶら下がった婚姻届。

実家の酒屋で働いていた蟹谷朝香。しかし突如、兄がお嫁さんと子供を連れて帰ってくること聞かされ、家と職を失うピンチに。
飲み会で愚痴を溢すと、友人の碧の勢いによって、片想い中の相手・篠倉佑紀との婚姻届を書くことに。
その帰り道、佑紀は、祖母から早く結婚するようと言われていること。朝香が困っているなら、この婚姻届を出して、自分の家に住んではどうか?と契約結婚を提案する。
そばに居たい朝香はそれを了承するが……。


 
舞台は千葉県いすみ市をモデルとした、いるみ市。都心からはちょっと離れた港町。
のほほんとした田舎町で繰り広げられる恋模様は、時に商店街の人から揶揄わられたり、見守られたり、二人で人助けをしたり。
ちょっと休憩したいなって時にぴったりな一冊。


元気いっぱいな蟹谷朝香こと、カニちゃんが篠倉くんのことが好きなのは、周囲にはすっかりバレバレで、なおかつ、契約結婚の話もあっという間に広まっちゃう。皆知ってるのって、斬新ですね。

一緒に暮らすようになって、篠倉くんの家でしか見れない姿を見て喜ぶ、朝香の心の声がとっても可愛い。
篠倉くんは、自分に好意を持っているわけでは無い。
だから、ただの愉快な同居人でいよう!と決めていたけれど、やっぱり心の奥底では、篠倉くんに近づきたくて、支えてあげたくて、好きが溢れそうになる。
その過程が、地域の人、二人の友人、元カレの登場とエピソードを重ねる中で一歩ずつ丁寧に積まれていった印象です。

カニちゃんらしくないって言葉。
〇〇らしい〜、〇〇っぽいって言葉、ラベリングするのに簡単なんですよね。これはこう、あれはこうって。
ある程度一緒に入れば、この人ってこうなのかも?って、予想や想像を立てるようになる。
でも、それを相手に押し付けたり、否定するのは違うので。

佑紀くん、基本的おっとり、優しい、契約結婚だから朝香を踏み込ませない……なので、最後まで気持ちが読めなくて、不思議でした!

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