『王子が生まれると水の魔女が攫いに来る。その為、王子は生まれなくなった。』
古いおとぎ話によって、王家と北の村の人々は不仲だった。
そんな水の魔女の末裔が住む村、ヒルデガルド。見習い魔女・ティナは、ある日届いた要請で、王宮へと派遣される。
依頼された仕事は、美しいヴィルヘルミナ王女に女性らしさを教える事と秘薬作り。
しかし、おとぎ話を信じる王女は、ティナに冷たかった。
へこたれないティナに少しずつ距離を縮まっていくが、王女はどこか訳ありなようで……。
夢中文庫セレスタイト。
楽しみにしていた、山本さんの新作です。
王女の訳ありについて、ピンとくる人はピンとくるかも。
序盤、ティナの甘ったれ具合に好きになれないと思いました。でも、これからかもしれないしと読み進め、恋と仕事で成長し、番外編では頑張っている姿を見れて良かったです。
お互い初恋の二人が甘酸っぱい。年齢が近しい人が身近にいなかったのだから、必然というか。
ティナの気軽な態度や明るさに救われていたかと思うと。外出に浮かれていたのが可愛い。
おとぎ話が思っていたより、重たい影を落としていたのだと魔女と差別された時に感じました。
薬が出来てからの後半は、救えるのか、丸く収める事が出来るのかとハラハラしながら読了。
王子を実質殺し、王女を作る。
もふもふ~でもあった『捻じ曲げて変えてしまう』異常さにゾクっとした。